
喘ぎ声レッスン*SS追加中*
第4章 すれ違う想い
俺の家は親父が社長だ。それもかなり大きめの会社。だから一人息子である俺は、遊びを禁じられた。
基本的に後ろに2人以上お目付役が居ないと外出できない。
・・・だけど、そんな家から俺は飛び出した。それは高校生の時だったかな。
テレビや友達の話でしか知らない、ゲームセンターに初めて来た。
知らなかった、俺はカードが使えない事を。財布には黒いカードしか見あたらない。コインって必要なんだ。初めてコインを持ち歩かなかった事に後悔した。
初めて来たゲームセンター。俺は鎖に繋がれた生活。だけど、他のみんなは楽しそう。
・・・俺だけ、こんな思いして。
「ねぇー、お金無いの?」
後ろを振り向くと、黒髪の小さい女の子が立っていた。目がくりくりしていて、可愛い。なんで分かったんだろう。
「うん、」
俺は頷いた。だって本当の事だし。ゲームセンターではカードはお金とは言えないよな。
「じゃぁ、これあげる」
金でもくれるのかな、そう思っていたら手に持ったぬいぐるみをくれた。凄く可愛い。
「本当はね、すごーく大切なんだけど、お兄ちゃん泣きそうな顔してるから。あげる」
クマのピンクのぬいぐるみ。俺には女の子が神様に見えた。
俺、泣きそうな顔してたんだ。
俺、みんなが羨ましいんだ。
