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雨の中の君へ。

第3章 彼。

トモヤにしては珍しく荒々しい行為だった。バックは男が女を支配したい、そういう欲望がもっとも表れる体位だと聞いたことがある。

少し上を向くと、トモヤがスヤスヤ寝息を立てている。長いまつげが可愛らしい。らしくない。

トモヤの家のベッドは窮屈だ。肌が密着して、トモヤの匂いがうつる。陽だまりの匂いで安心する。

ブーン…枕元においてあった私の携帯が鳴った。

「!!」

タケルだ。こんな夜中に何だろう。じっと見つめるだけで、音が止むのを待った。

着信が止まり、静かな部屋に心臓の音が聞こえてトモヤが起きてしまうんじゃないかと心配するくらい、私の胸が高鳴る。



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