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雨の中の君へ。

第4章 星。

家でウキウキと荷造りをしているところに、母親から電話があった。

…あれ以来無視し続けていた私。

案の定、怒られ、そしてしぶしぶ横浜に行く約束をさせられる。

「トモヤ君にもよろしくね!」

…トモヤ今の話に関係ないし。電話を切った。

トモヤが隣で苦笑している。

「サキのお母さんて楽しいよねぇ。」

「トモヤのことが大好きなの」

今日はあれから鬼百合デスクに本当に休みをもらった。
そして本当に一ヶ月ぶりにトモヤに会っている。

「あーあ。俺も休み取れたらサキと行ったのに。」

基本土日休みで、比較的自由に休みを取れるはずのトモヤが、明日明後日、そして来週いっぱいと忙しい。

そして一緒に荷造りを手伝ってくれている。

「ほんと。残念。」

「よりによってー」

トモヤが仕事だから明日は横浜に茶器を受け取りに行くことにした。ゴロン、トモヤが私の膝に寝転ぶ。

「ね、サキ、一緒に暮らさない?」

私の頬を撫でながら言う。

「突然どうしたの?」

「突然じゃないよ。ずっと考えてたんだ。だって家賃もったいないじゃない?サキほとんど寝に帰ってくるだけでしょ?」

私はトモヤの顔を手で包みこむ。

「俺はサキに毎日会いたい。」

「…うん。…でも毎日いると幻滅すると思うよ笑」

そっと前かがみになってトモヤにキスをした。トモヤも私の頭に手を回す。トモヤの優しいキス。

「飽きるくらいサキと一緒にいたい。サキは?」

私は返事の代わりにトモヤにキスをした。

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