雨の中の君へ。
第4章 星。
はぁ…
土曜日の夕方、私は横浜の伯母のマンションの前にいる。トモヤと朝をゆっくり過ごして、普段溜まっている家事をしていたらこんな時間になってしまった。
そしてオートロックの玄関前で悩んでいる私はちょっと怪しい人だと思う。
…タケルと会うのが嫌だ。
トモヤとタケルが以前似てるなと思っていたけど、全然違うってことが分かった。
トモヤの方が断然性格が良い。
公務員のタケルはきちんと土日が休みだ。たぶんいるだろう。彼女もいないって伯母さん昨日ぼやいてたし…。いや、彼女がいなくても男友達と遊びに行ってるかもしれないし。
…ええぃっ。
さっさともらうものもらって帰ろう。そうしよう。
ピンポーン♪
「はーい」
「……」
タケルの声だった。
「おっ…伯母さんいるっ?」
かっこ悪い…声がうわずってしまった。フッと笑う声が聞こえるようだ。
ブーン、と自動ドアが開いた。