テキストサイズ

雨の中の君へ。

第4章 星。

「泊まって行けってさ♪」

「いや、泊まる準備してないし。仕事だからご飯食べたら帰る。」

「嘘つきー。春子叔母さん言ってたぜ。来週まるまる休みで長野だって♪」

…お母さん余計なことを…。ソファーに座った。

「おっ、サキちゃんいらっしゃい♪泊まって行きなよ。近くにいるのになかなか遊びに来ないって家内が寂しがってたよ。」

「おじさん!お邪魔してます!」

伯父さんが書斎から現れた。タケルと二人きりじゃないことにホッとする。

なぜ伯母さんと伯父さんからタケルみたいな奴が生まれて来たんだろう…。

…というか、こんな性格だと知ったのはあの時からなんだけど…二重人格だ。

タケルがこちらを見ている。プイと逸らした。

メガネ…。
あの時のタケルはメガネをしてなかった。いつもと違う眼差しはメガネを外した姿だったからだ、と今更のように気付く。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ