
雨の中の君へ。
第4章 星。
一本目のワインが空いた頃に、よっくんが帰って来た。
「うわーおかえりー!元気だったぁ?」
ずいぶん見ない間に背が高くなって男前になっている。
みんなで囲む食卓。久しぶりの感覚だ。いつも仕事の片手間に食べるか、一人帰って寂しく食べるか。本当に久しぶりだった。
「うちも久しぶりなのよ。タケルも毎日夜中近くまで仕事してるし。いつもお父さんと二人。」
タケルは横浜市役所の公務員だ。
「はーっ、やっぱり伯母さん娘が欲しかったわぁ」
私とよっくんとで洗い物をする。タケルもテーブルを片付けていた。伯母さんはソファーで私が淹れたコーヒーを飲んでいる。
伯父さんは酔っ払って寝てしまった。
「いつかよっくんとタケルが可愛いお嫁さん連れて来るよ笑」
「ヨシはともかくタケルが心配なのよー。女っ気が全くないのよ。サキ誰か紹介してよ。」
「公務員はうちの田舎だと売り手市場なんだけどなー。田舎で合コンとか♪あ、私の営業の事務の子が良いかも。」
「ほんと⁈そうねぇ、誰でも良いんだけど、タケルの趣味を一緒に楽しんでくれる人がいいわねぇ。」
タケルの趣味は星の観察だ。わざわざロシアの望遠鏡を買い、ヨウコと名付けてる。
「だいたい、母さんがうるさすぎるんだよ。」
お皿を拭きながらタケルがぶっきらぼうに答えた。
…それは言えてるかも笑。
「誰でもいいとか言いつつ誰でも良くないからねー。」
よっくんも同意してる。
「いや、お母さんは良いのよ!とにかく娘が欲しいの〜!こうやって会話したいの〜!」
