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雨の中の君へ。

第5章 罪と罰。


…私たちは従兄妹同士だ。
私の母とタケルの母とが姉妹。

法的に認められていても、世間的に許されないのじゃないか。

それがお互いの結論にあった。

田舎なら尚更だ。


…何時間経ったか分からない。

泣き止んだ頃には窓の外は真っ暗で、けど、夜空に星は見えなかった。

目、冷やさなきゃ。冷蔵庫にいって保冷剤を目に当てる。

…タケル…ジワリとまた涙が出てくる。


ブーンと…着信が鳴った。


涙でぐちゃぐちゃの手で携帯を取る。

…金谷さんだ。



「…もしもし!」

泣いていたことを悟られないように元気良く出る。

「すみません!お休み中…先生がどうしてもサキさんに会いたいそうで…」

すごく困った声の金谷さん。先週から先生からの着信は、全て無視していた。

「サキさんと会えないならもう仕事しないってホテルにたてこもってるんです…」


…相変わらず子どもみたいな人だ。今日は確か雑誌の対談企画とテレビの取材、明日は直木賞審査の審査会員の懇親会があるはずだ。


作家さんはあまり表に出ることはない。先生もマスコミ嫌いだ。けど、この新作の話題性をマスコミがほっておくはずがなかった。


「…分かりました。…行きます」


仕事モードに切り替えた。

…行けばどうなるかは、分かっているけど…一人でタケルのことを考えるよりはマシだった。

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