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雨の中の君へ。

第5章 罪と罰。

お盆になり、私は二泊三日で地元に帰った。

「なんでトモヤ君と帰って来ないのよ。」

母の一言目だ。

…トモヤは会社のシステムトラブルで、全社員お盆休み返上になっている。

「仕事よ仕事。はい、頼まれもの。」

東京土産と茶器を渡した。客間からは賑やかな声が聞こえる。

うちは本家で、盆や正月は沢山の人が集まる。つまりは朝から晩まで宴会。

「トモヤ君うちにわざわざお中元贈ってくれたのよ。あ、そうそう伯母さん達も夕方着くって。」

「…よっくんや…タケルは?」

「よしだけ帰って来るって。タケルは星観に行くみたい」

…長野だ…。胸がキュンと切なくなる。

もう会わない…

タケルの声が耳に残ってる。

会わない、と言っても冠婚葬祭や盆、正月は顔を合わす。

少しだけ期待してた。


…だいぶ、だな…。

自宅に帰るというのに、私は必要以上にオシャレしていたし、右手の指輪は外してあった。

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