雨の中の君へ。
第2章 仕事。
「馬鹿野郎!!」
ひゃっ、と目をつぶって俯いた。
「原稿持ってほっつき歩くバカがどこにいるんだ⁈」
私はあれからタケルに気付かれないように腕から抜け出して今、目の前のデスクに怒られている。
「すみませんでした!」
鬼百合嵐、という名のごとく、うちの編集長はやり手の鬼だ。
「まぁまぁ鬼百合デスク、サキちゃん畑山先生から原稿とってきたんでしょ?上等じゃない」
お茶を淹れて私に助け舟を出してくれたのは、光井聡子先輩。私より10上。様々なジャンルの小説を手掛けるうちの編集部で私と光井先輩が唯一の女性。男ばかりのこの職場で実績を積み上げるのは大変だ。光井先輩はまさに出来る人。ベストセラーを何本も出している。
「まぁなぁ…光井がそういうなら…おーい!印刷あげてくれー!」
鬼百合デスクがサキから受け取った原稿を印刷部に回した。
鬼百合デスクも光井先輩には頭が上がらないところがあるんだよな。私はホッと胸をなでおろした。
「サキちゃん、気を付けなさいね、畑山センセには」
光井先輩が私に耳打ちした。
私は小さな声でありがとうございます、とだけ言って給湯室へ行った。
ひゃっ、と目をつぶって俯いた。
「原稿持ってほっつき歩くバカがどこにいるんだ⁈」
私はあれからタケルに気付かれないように腕から抜け出して今、目の前のデスクに怒られている。
「すみませんでした!」
鬼百合嵐、という名のごとく、うちの編集長はやり手の鬼だ。
「まぁまぁ鬼百合デスク、サキちゃん畑山先生から原稿とってきたんでしょ?上等じゃない」
お茶を淹れて私に助け舟を出してくれたのは、光井聡子先輩。私より10上。様々なジャンルの小説を手掛けるうちの編集部で私と光井先輩が唯一の女性。男ばかりのこの職場で実績を積み上げるのは大変だ。光井先輩はまさに出来る人。ベストセラーを何本も出している。
「まぁなぁ…光井がそういうなら…おーい!印刷あげてくれー!」
鬼百合デスクがサキから受け取った原稿を印刷部に回した。
鬼百合デスクも光井先輩には頭が上がらないところがあるんだよな。私はホッと胸をなでおろした。
「サキちゃん、気を付けなさいね、畑山センセには」
光井先輩が私に耳打ちした。
私は小さな声でありがとうございます、とだけ言って給湯室へ行った。