天使で悪魔なセラピスト
第3章 最初の施術
ユナの向かい側でなくすぐ隣に寄り添うように、蓮は腰をおろした。
「…まず、君の名前と年齢を教えてくれる?…」
「あ、…持田ユナ、です、…19歳、…」
「じゃ、大学生?」
「はい。」
「可愛い顔してるから、まだ高校生かと思った。」
蓮はそう言ってクスリと笑うと、白衣のポケットにさっきユナの鼻血を拭いたハンカチをしまおうとした。
「あ!…すいません!それ、私洗って返しますから」
慌ててユナがそう言い、ポケットの蓮の手に自分の手を伸ばした。
「!」
骨ばっていながらにして繊細そうな逞しい蓮の手の甲にユナの小さい指が触れた瞬間、蓮の手がいきなりユナの手首を捕まえた。
「へえ…自分から触れられるんだ。」
「…!?あ、…」
そう言えばそうだ。
これまで一度も、男の人に自分からなんて、増して初対面の人になんて触れたことなかったのに。
ユナは驚きに目を瞬いて蓮を見た。