天使で悪魔なセラピスト
第5章 始 ま り
ぴく、ぴく、とまだ体を震わせているユナを、蓮は優麗な眼差しで見ながら、耳元で囁いた。
「初めてイッたんだね?」
低く尋ねられた声は、フワフワとした夢の中で聞くように甘く、酷く優しかった。
「そのまま少し眠りなさい。目を覚ましたらキミの寮まで送って行く」
身体中に痺れ残るような甘い余韻に恍惚となったまま、ユナはかすかに頷き、そのままこと切れるように意識を失った。
フ。とまた琥珀の目を緩ませてから蓮は、ユナの乱れた服を整えベッドへ仰臥させ、ブランケットを肩まで引き上げてやった。
そしてその後彼はゆっくりと立ち上がり背後を振り返ると。
「…いつまでそこで眺めているつもりだ?」
と、僅かに声を張り、投げた。