天使で悪魔なセラピスト
第1章 トラウマ
こんな自分、もう、やだ。
私だって人並みに、恋がしたい。
恋が、したいのに。
うつむいて、零れ落ちる涙もそのまま歩いていると。
「…ど~したの?カノジョ♪」
不意に向かいから声が掛かり慌てて顔を上げると、見知らぬサラリーマン風の中年の男が、穏やかに微笑みながら立っていた。
「っ。」
思わず身構え、慌てて両手の項で涙を拭ったユナだったけれど。
「女子大生?高校生かな?どうして泣いてるの?嫌な事でもあったの?」
言いながら男が近づいてきた。
「…悩みがあるんでしょう?おじさんに話してきかせてくれる?それか」
男は無遠慮にユナの腕を掴み、にやっといやらしい笑みをこぼしながら覗き込んだ。
「…気晴らしにホテルでいい事しない?」
「!や!離して下さい!」
ユナは男の腕を振り払い、きびすを返した。