天使で悪魔なセラピスト
第6章 ユナの恋心
「ん、…」
ぼんやりと淡い気だるさを抱いたまま、ユナはゆっくり目を開けた。
低いエンジン音が心地よく耳に届いていて、程なくユナはここが走行中の車の中だと気づいた。
「あ、…」
「気がついた?…大丈夫?」
低く柔らかな声。
アーモンド型の大きめな瞳がユナを捉え、甘く笑みを含んだ。
「センセイ…」
「もう少しで君の家につくよ。」
ユナは戸惑いの表情で蓮を見たまま、ほんのり頬を染めた。
ゆっくり目を逸らせたユナの耳に、クスリと笑う声。
「今、どんな気分?」
えっ…
「は、恥ずかしいです。…私、あんな、初めて…」
「初めて、どうしたの?」