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天使で悪魔なセラピスト

第6章 ユナの恋心

戸惑い見上げるユナを、一瞬だけ蓮は少し困ったような笑顔で見つめ返した。



「恥かしがってても男がちゃんと導けば、キミはきっと素直にすべてをみせてくれる子だってわかったんだ。…だから、もう十分だよ。」



「で、でもっ…」


戸惑いながら蓮を見つめる黒い瞳が、濡れて揺れていた。



「キミの“初めて”は、これからできる大切な人に捧げるんだ。きっと最高の時間になる。僕が保証するよ。」



「センセ…」


「大丈夫。きっとその時が来るよ。多分、そう遠くない未来にね。」



蓮が極上に艶やかな笑みを浮かべ、左手を伸ばしてそっとユナの頭を撫でた。


ユナは黒く濡れた瞳を揺らし、切なく蓮を見た。


でも、…私…。


ユナは何も言えず唇を噛んで下を向いた。


蓮は静かに車を走らせ、やがて彼女の寮まで辿り着いた。


ギアをパーキングに入れ、改まったように上半身を捩ってユナを見た蓮は、甘い褐色の瞳で優しく微笑み、両の掌で彼女の小さな手をそっと包み込んだ。


「じゃあね、ユナちゃん。…勇気を出して君の世界を切り開くんだよ。」


「センセ…」


それから蓮は合わさった愛らしい手を自分の口元まで運び、紳士的なキスをした。

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