
あいどる君に恋煩い
第5章 やきもち
「あ、あの…」
重苦しい沈黙に耐えられなくて私は口を開いた。
「あ、あの… どうしたんですか……? というより、何でこんな…?」
「…都さん。」
「は、はいっ」
祐斗くんは私の名前を呼んだ。
でも…
「な、何で私の名前知ってるんですか⁇」
「いつもファンレターくれるじゃないですか。」
そう。実は私は自分から名乗った事は無かった。
ファンレターにはもちろん名前を書いていて、麻季乃とのプリとかは貼っていたが、ファンレターなんてたくさんもらうからきっと読んでも記憶に残らないだろうと思っていた。
だからこんな状況だけど少し嬉しさもあった。
「あ、そっか…。で、あの……だからなんで……?」
「はぁぁぁ。」
祐斗くんは大きくため息をついた。
「都さん。僕のファンサ、いつも1番たくさんあげてるの、気づいてなかったですか⁇」
「えっあ… そうだったんだ。いや、気づいてないというか、思い込みかなって思ってて…」
「それが思い込みなんですよ。僕は都さんにいつも1番たくさんファンサあげてるんですよ?」
祐斗くんの声は依然低いまま。
「ハイタッチの時だって、あんなに顔近づけるの、都さんくらいですよ?」
「は、はぁ…」
「それなのに… 今日は敬太兄さんばっかり見て顔赤くしてるし。 不思議に思って兄さんに聞いてみたらあのカフェで仲良くしたみたいだし…」
「な、仲良くしたってそんなんじゃないですよっ⁈ ただたまたま相席しただけで…」
「じゃあなんで敬太兄さんの事は名前を呼びすてで呼んでタメ口なんですかっ⁈」
「………………えっ?」
