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第8章 札束

正直、あんな札束ぐらい今の私には容易いものだった。

あんなに安い金で枕営業している志帆と張り合っているのが馬鹿馬鹿しくなったのと同時に志帆はお金に困っているのかと思った。



「志帆ちゃん、あんなことされたら困ったわね。お店の品格が下がるじゃない。
あんな安いお金…*旦那でも無さそうだし、このお店の扉を開けるということはお客様もそれなりの覚悟して来てるのよ。
そこらの飲み屋とは訳が違うの。
志帆ちゃんには私から注意しておくわ。エリカちゃんは正しいことしたのよ。
不快感を与えてしまって、ごめんなさい。」

ママが私に頭を下げた。


「ママ…
ママが謝ることじゃないから、頭下げないで下さい。私の受け答えが悪かったの。もっとプロになって頑張るわ。
私こそ、ごめんなさい。」


「今日は終わったら塩まいてスッキリしましょう。それまで頑張りましょう、エリカちゃん!」


「はいっ!」


二人笑顔を戻し何事も無かったかのようにフロアーに戻った。


*旦那=特定のパトロン、影のスポンサー。

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