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EROSMAN

第5章 男の刀を狩る者、シノブ現る

ピンポーン
ガチャ
「はい、どちらさ・・・。」
ガン!
扉から出た男を胤罫は殴った。後方に吹き飛ぶ男。
「何だ、お前急に!」
胤罫は無視し、男の顔面を蹴り上げた。
「ご、あァァァ!」男は痛みで転がり回る。
「お前の、お前の娘はもっとつらい、もっと痛い思いをしたんだ!」
「はァ何の事だ!」「父さん・・。」
胤罫の後ろから出てきたのは男の娘、シノブだった。
胤罫は怒りで震えていた。胤罫自身もここまで怒ったのは初めてだと思う。しかし、それだけ許せなかった。
「お前は、孤児のこの子を引き取った。この子は親に捨てられて、死にたくなるくらい孤独を味わった。そんな時、家族が出来る、という希望が舞い降りたんだ!たぶんシノブは死ぬほど嬉しかったと思う!そりゃそうだ。自分の居場所が出来ると思ったんだからな!なのに、てめえはその僅かな希望を見事に壊しやがった!自分の娘を汚す、という絶対にやってはいけない事を、人としてしてはいけない事を平然とやってのけた!何でこの子の家族になってやらなかった!何でこの子に幸せを味あわせてやらなかった!この子はずっと待っていたんだ!幸せが来るのを!」
胤罫は再び男を殴ろうとするが、シノブは胤罫の腕を取り、止めた。
男は不気味に笑いながら話始めた。
「へへ、んなもん知るか。俺はコイツを何とも思っていなかった。俺はな、初めからコイツを犯す事しか考えていなかった。コイツを育ててやったのも、小さいガキを犯す趣味はねえからな、高校生になったらじっくり犯してやろうと思った。」
胤罫は怒りを抑えながら男の話を聞いた。シノブは涙を流して耳を塞いでいる。
「それからしばらくしたらシノブは帰ってこなくなった。別にどこにいこうが構わないが、コイツは訳のわからない事をし始めた。一応コイツの保護者だからな、警察が来てめんどくせえ質問を延々とされたよ。んで俺は決心した。次シノブの顔を見たら・・。」
男は満面の笑みを浮かべ、
「殺してやろうと。」
胤罫は何かが切れた音がした。
胤罫は我にかえると、そこには気絶している男。
シノブは怯えていた。胤罫は「ごめん。」と一言いった。
シノブは小さい声で「別に、いい。」と言った。
胤罫はしばらく黙ってシノブと歩いていたが、こう言った。「お前に合わせてやりたい人がいるんだ。」

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