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EROSMAN

第5章 男の刀を狩る者、シノブ現る

「ここに、合わせたい人がいる。」
胤罫は家の前で歩みを止める。
屋根が赤色の、よくある一軒家だった。シノブは、驚いた表情になり、そして震え始めた。シノブは逃げようとしたが胤罫はシノブの手を掴み逃がさないようにする。
「嫌!離して!ここは思いだしたくないの!」
胤罫は決して離さなかった。
ここでこの手を離して、この子を逃がしたら、シノブは一生幸せはやってこない。一生、恨むべきではない者を恨み続ける。
すると、扉が開き、中から女性が出てきた。初老の女性だった。女性は目を見開き、シノブを見るとシノブに近寄り、抱き締めた。
「嫌、あなたなんて知らない!離して!」シノブは女性から逃れようとするが女性は強く抱き締めているので逃れられない。
「嫌、絶対に離さない。あなたは勘違いしているの!」
シノブは、動きを止め、「どうゆう事?」と女性に問いかけた。
女性は話し始めた。「私の家族はとても貧乏だった。そして、借金取りが毎日来た。それでも、子供は欲しかった。だから一生懸命育てた。だけど、借金取りは金はいらないからお前達の娘をよこせ、と言ってきた。その日はことわった。そして私達はあなたを孤児院に預けた。そこなら安全だと考えたから。そして、あなたが大きくなったら返してもらおうとした。しかし、あの借金取りの男はあきらめなかった。孤児院で孤独にたえていた子は、いきなり家族が出来る、何てことを聞けば嬉しいに決まっている。シノブは借金取りの顔を見たときがなかった。なのでその男の所に行ってしまった。それから時はすぎて、あなたがどこにいるか分からなくて、探し回った。結局見つからなかった。だけど、今こうして再開できた。」
シノブの母は涙を流して、「ゴメンナサイ、あなたを幸せにするつもりが、逆に奈落に落とすような結末になってしまった。本当にごめんなさい!」
女性は何度も謝る。「私のほうこそ、ゴメンナサイ。私は母さんと父さんをずっと恨んでた。恨み続けた。私はいらない子、だから捨てたと思いこんでいたから・・。」
でも、とシノブは胤罫の方を向いて問いかける。
「何で、あなたは母さんの家を知ってたの」
胤罫は笑顔で
「お前の母さんが俺の家にきたんだよ。娘を助けてほしいってな。」

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