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しばらくすると、美少女は目を開けた。「ここは？」
相変わらず無表情な顔で周囲を見渡す。美少女は胤罫と目が合った。
胤罫は、逃げる体制をとった。
しかし、美少女は何もしてはこなかった。
「こ・・攻撃してこないのか？」
胤罫は恐る恐る言う。しかし美少女は首を傾げるだけ。
沈黙が続く。しばらくすると気絶していた椿が目を開けた。
「おう。気がついたか椿。」
椿は目を見開いた。何故ならそこに急に襲ってきた美少女がいたから。
「おいおまえ、さっきはよくも殴ってくれたな！」
今にも美少女に掴みかかろうとしている椿を止める。
美少女は、椿の言葉で表情が変わった。
「私は、男性排除アンドロイド、サキエル。だけど、私はこんな事はしたくない。」
「どうゆう事だ？」
胤罫が問いかける。
「天野 鳴海 あまの なるみという博士がいました。彼は、ある事故で家族を失いました。彼は深く絶望しました。彼は家族の事が忘れられなかったのでしょう。彼は発明家でもありました。
彼は必死に娘に似せたアンドロイドを作りました。そして、機械に人間の感情をもたす、という難しい事もやってのけました。そして出来たのが、私。昔は名前があったのですが、変えられてしまい、今はサキエルです。博士は本当の娘のように愛してくれました。私は毎日が楽しくて仕方がありませんでした。
しかし、そんなある日でした。ドリーム・キスと呼ばれる組織が現れ博士を殺害し、私はさらわれました。
私は抵抗もむなしく変なカプセルに入れられ、改造をされました。」
「改造？」
椿は聞く。サキエルはコクリと頷き、話を続ける。
「私は殺戮マシーンに変えられました。武器の搭載。無の感情になるシステム。ありとあらゆる物を取り付けられました。そして」
といって、足に刻まれているドリーム・キスという文字を見せた。
「博士の名前が書いてあったのを消して、上からこの文字を刻んできた。博士の、事を忘れないように博士が刻んでくれたものなのに・・。」
といってサキエルは涙を流した。
胤罫は泣いているサキエルを優しく抱きしめる。アンドロイドだからって関係ない。この娘は人間と一緒、だから涙を流しても何もおかしくはない。
「おい、サキエル。おまえをふざけた機械にした糞野郎の名前を教えてくれ。」
サキエルは、涙をふき、「峰千佳 琴音 みねちか ことね」といった。