テキストサイズ

EROSMAN

第9章 魔女と呼ばれた少女

一方、場所変わって胤罫のアパート。
「で、この子は誰なの」
胤罫は、サキエルが連れてきた少女を見る。
「分かりません。ただ、なんか如何にも悪そうな顔をした男達に追われていたものですから。」
サキエルは腕を変形させ、退治しましたけどね、と自慢げに言った。
「君、誰だか知らないけど、親御さんが心配してるんじゃねーの家に帰った方がいいよ!」
しかし少女は黙り込んでいる。
「おーい、返事しろ。」
すると、少女は急に顔を上げ、胤罫に抱きついた。
サキエルは腕をサバイバルナイフに変えた。
「お願い。私を・・救って」
少女は上目使いで言ってきた。
胤罫は、少女特有の甘い香りを吸い込み、「何か、事情がありそうだな。」と言う。
少女は胤罫から離れ、「私の名前は、黒猫 香織 くろねこ かおり。魔女と呼ばれている女よ。」
と言った。
胤罫は、はという顔になった。
この子は何を言ってるんだろう、といった感じの顔である。
「・・魔女なんていったって信じるわけないよね。私自身、信じたくないもの。だけど、私は周りを不吉にし、関わったものを死に至らしめる。魔女のようなものなの。」
胤罫は信じられなかった。とゆうか、人間の8割は信じないだろう。
「・・もしかして、可哀想な子」
胤罫は問う。
少女は顔を真っ赤にし、「違う!てゆうか、私だって信じたくないの!こんな魔女だなんて言われて、人久からは避けられて、親からも捨てられて。」
少女は泣き始めてしまった。
「・・親に捨てられたのか?そんな変な力があるからって?」
少女は頷く。
「しかも、行く宛がないと思ったら、今度は、変な組織に追われるし!もう嫌だよ!こんな人生。私が何したってのよ!」
香織は泣き続ける。
胤罫は香織の身体をそっと引き寄せ、抱きしめた。
サキエルはこんどはサバイバルナイフを出さなかった。
「つらかったんだな、ゴメンな、魔女なんて急に言われて冗談かと思ってしまったんだ。安心しろ、俺が絶対に守る。どんな奴らか知らねーが、必ず守ってやる。」
胤罫は約束だ、と香織に微笑みかけた。
すると、サキエルが「もしかすると、またドリーム・キスの奴らかもしれません。」と言った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ