紅蓮の月~ゆめや~
第2章 紅蓮の月
―でも、私ならば、たとえ織田のお殿様とはいえ、こちらのお館様のご寵愛を頂くなんてまっぴらご免だわ。
―あら、それは、なにゆえ?
―だって、お館様はこの近辺でも「大うつけ」と評判ですもの。到底尋常では考えられないようないで立ちをなさったり、訳の判らないことを口走ったり。私にはついてゆけそうにもありませぬ。
―おきぬ様、お館様のお顔をよくよくご覧あそばせ。あのような奇妙ななりをなさっておいでゆえ判らないけれど、なかなかの男ぶりでいらっしゃいますよ。
―そうでしょうか、私はとにかくお館様を怖いと思うので、お顔などとてもしげしげと拝見などできませんわ。カッとなったら、どのように信頼する家臣でもその場でお手討ちですもの。あのようなお館様をご夫君に持たれて、美濃から来られた奥方様もお気の毒です。
―あら、それは、なにゆえ?
―だって、お館様はこの近辺でも「大うつけ」と評判ですもの。到底尋常では考えられないようないで立ちをなさったり、訳の判らないことを口走ったり。私にはついてゆけそうにもありませぬ。
―おきぬ様、お館様のお顔をよくよくご覧あそばせ。あのような奇妙ななりをなさっておいでゆえ判らないけれど、なかなかの男ぶりでいらっしゃいますよ。
―そうでしょうか、私はとにかくお館様を怖いと思うので、お顔などとてもしげしげと拝見などできませんわ。カッとなったら、どのように信頼する家臣でもその場でお手討ちですもの。あのようなお館様をご夫君に持たれて、美濃から来られた奥方様もお気の毒です。