紅蓮の月~ゆめや~
第3章 紅蓮の月 二
空しかった。ただただ空しかった。途方もない虚無感だけが帰蝶を支配していた。目的を見失い、計画遂行に失敗した刺客には最早死が残されているのみだ。
「儂はいつでも、殺されてやる。だが、儂を殺せば、後悔することになるだろう」
虚ろな眼差しの帰蝶に、信長は淡々と言った。
「儂は必ず天下を取る。この戦乱の世を平らげて、この国に君臨する新たな王、覇者となる。しかし、儂を殺せば、乱世はいつまでも終わらず、人々は永久(とこしえ)に殺戮を繰り返し、あまたの生命が失われる。そなたは、それでも良いのだな?」
念を押すように問われ、帰蝶は茫然とした。
―何という自信家だろう。
あまりの物言いに愕き呆れたが、この男ならば、今の言葉どおり真に天下統一を成し遂げるだろうと納得もゆくような気がする。
「儂はいつでも、殺されてやる。だが、儂を殺せば、後悔することになるだろう」
虚ろな眼差しの帰蝶に、信長は淡々と言った。
「儂は必ず天下を取る。この戦乱の世を平らげて、この国に君臨する新たな王、覇者となる。しかし、儂を殺せば、乱世はいつまでも終わらず、人々は永久(とこしえ)に殺戮を繰り返し、あまたの生命が失われる。そなたは、それでも良いのだな?」
念を押すように問われ、帰蝶は茫然とした。
―何という自信家だろう。
あまりの物言いに愕き呆れたが、この男ならば、今の言葉どおり真に天下統一を成し遂げるだろうと納得もゆくような気がする。