紅蓮の月~ゆめや~
第3章 紅蓮の月 二
「ホウ、戦が嫌いだとはマムシの娘らしからぬことを申す」
道三もまた歴戦の戦で多くの人の生命を奪い、「マムシ」と怖れられる有力な戦国武将に成り上がったのだ。
信長が笑った。帰蝶はハッとした。信長の笑顔は先刻までの皮肉めいたものでもなく、冷徹なものでもなかった。いつものように揶揄する声音で、信長は帰蝶に言う。
まるで帰蝶がたった今自分を殺そうとしたことなど一切忘れ果てたようにさえ見えた。
「私は戦は嫌いです。一日も早う戦のない泰平の世が来ることを願うておりまする」
帰蝶は真っすぐに信長を見つめ、今度ははっきりと言った。信長は帰蝶の眼を見て、大きく頷いた。
「ならば、儂について来い。儂の傍で儂が天下を取り戦なき世を作るのを見届けろ」
道三もまた歴戦の戦で多くの人の生命を奪い、「マムシ」と怖れられる有力な戦国武将に成り上がったのだ。
信長が笑った。帰蝶はハッとした。信長の笑顔は先刻までの皮肉めいたものでもなく、冷徹なものでもなかった。いつものように揶揄する声音で、信長は帰蝶に言う。
まるで帰蝶がたった今自分を殺そうとしたことなど一切忘れ果てたようにさえ見えた。
「私は戦は嫌いです。一日も早う戦のない泰平の世が来ることを願うておりまする」
帰蝶は真っすぐに信長を見つめ、今度ははっきりと言った。信長は帰蝶の眼を見て、大きく頷いた。
「ならば、儂について来い。儂の傍で儂が天下を取り戦なき世を作るのを見届けろ」