紅蓮の月~ゆめや~
第6章 第二話【紅蓮の花】 二
「今宵の凛子は美しいな」
義経が頬を酔いにほんのりと染め、凛子をまじまじと見つめる。乱れた前髪がほつれて、はらりと額にかかっていた。少しやつれた様がかえって義経の美男ぶりを凄絶なまでに際立たせている。ここのところの憂いのゆえか顔の輪郭が鋭利になって、以前の闊達な少年のような印象はなくなった。それは義経をこれまでになく大人の男に見せていた。
今夜の凛子は薄紅色の小袖、紅い地に白い梅の花の散った打ち掛けを重ねている。鮮やかな地の赤色が凛子の白い肌によく映えていた。
凛子はあまりに直截な義経の物言いに、義経以上に赤くなった。まるで呑んでもいない酒に酔ったように頬が熱い。
「凛子、障子を開けてくれぬか」
ふと義経が言い、凛子は頷いて立ち上がった。
義経が頬を酔いにほんのりと染め、凛子をまじまじと見つめる。乱れた前髪がほつれて、はらりと額にかかっていた。少しやつれた様がかえって義経の美男ぶりを凄絶なまでに際立たせている。ここのところの憂いのゆえか顔の輪郭が鋭利になって、以前の闊達な少年のような印象はなくなった。それは義経をこれまでになく大人の男に見せていた。
今夜の凛子は薄紅色の小袖、紅い地に白い梅の花の散った打ち掛けを重ねている。鮮やかな地の赤色が凛子の白い肌によく映えていた。
凛子はあまりに直截な義経の物言いに、義経以上に赤くなった。まるで呑んでもいない酒に酔ったように頬が熱い。
「凛子、障子を開けてくれぬか」
ふと義経が言い、凛子は頷いて立ち上がった。