紅蓮の月~ゆめや~
第6章 第二話【紅蓮の花】 二
部屋に面した障子戸を開くと、鈍色の雲が低く垂れ込めた空から落ちてくる雪が見えた。雪はまるで春に咲く桜の花びらのようにふわりふわりと絶え間なく天から降りてくる。
その光景はまるで現(うつつ)ならぬもののように幻想的で、儚いほどに美しい。時折吹く風と共に身も凍るほどの寒気が部屋の中にまで流れ込んできて、凛子が細く開けた障子を閉めようとしたその時。
背後から義経が響いた。
「そのままで良い。いや、もっと雪が見たい。済まぬが、一杯に開けてはくれまいか」
凛子は義経に言われるがままに障子を開け放った。義経は憑かれたように降る雪を眺めている。既に庭にはかなりの雪が積もっていた。
その光景はまるで現(うつつ)ならぬもののように幻想的で、儚いほどに美しい。時折吹く風と共に身も凍るほどの寒気が部屋の中にまで流れ込んできて、凛子が細く開けた障子を閉めようとしたその時。
背後から義経が響いた。
「そのままで良い。いや、もっと雪が見たい。済まぬが、一杯に開けてはくれまいか」
凛子は義経に言われるがままに障子を開け放った。義経は憑かれたように降る雪を眺めている。既に庭にはかなりの雪が積もっていた。