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紅蓮の月~ゆめや~

第6章 第二話【紅蓮の花】 二

「私は凛子を女子として可愛いと思っていた。それゆえ、待っていてくれと申したのだ。たとえ何年待たせることになっても、必ず迎えにくるつもりであのように言った。その言葉に嘘はない。だが、あの日、私は凛子の気持ちを既に知っていたのもまた確かなことなのだ」
 凛子は自分にずっと真実の気持ちを伝えようとしなかった忠衡のことを思った。凛子にその恋心を気づかせないほど、忠衡はいつも兄のように優しく振る舞っていた。義経がこうして平泉に帰ってくるまで、いつも凛子の傍にいて守ってくれたのだ。大切だからこそ、傍で見守るだけの愛し方もあるのだと、凛子はこの時初めて知ったような気がした。そして、忠衡の愛し方と凛子の義経への愛はどこか似通っているとも思った。報われぬ恋なのに、傍にいてただ相手を見守るだけの愛。

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