紅桜学園イケメン部!
第16章 相変わらず
「――…そーだな」
「いや、良いんだよ?
俺に気なんか遣うなよー。
みんな気持ちわりぃなぁー?」
ニヤっと笑みを浮かべる拓己。
・・・ねぇ拓己。
普段通りに喋って、誤魔化せてるとでも思ってんの?
俺ら中学からずっと一緒だったのに、分からない訳ないじゃないか。
今のお前、あの日の笑顔に戻ってる。
今にも消えちゃうんじゃないかって表情。
無理してる笑顔。
…その原因は気付いている。
拓也はみなみちゃんを見ると、思い出してしまうのだろう。
あの人を、昔の出来事を。
思い出したくもないあの日を。
メイド服おを着た時も、凄く寂しそうな表情をしていた。
あのメイド服を初めて着たのは・・・。拓己が思い出してしまうのも無理はない。
みなみちゃんの茶色いセミロングの髪型も、何もかもが一致して。
思わず俺も、一瞬あいつじゃないかって思ってしまったのだから。