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ふたりのカタチ

第2章 久しぶり

「ただいまー」
「おかえ…り!?」

『り』のところだけ声が裏返ってしまい
照れ隠しで乾いたばかりの髪を触りながら
あちゃーと言うしかなかった

「お久しぶりです」
そう言って
すごくキレイな笑顔で私を見る
動くことも声を出すことも出来なかった

「姉ちゃん、退いてくんないと中入れないよ?」

弟の声にはっと我にかえった
差し出された買い物袋を受け取って
小さな声で『いらっしゃい』と言うことしか
出来ないでいた

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