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愛して、愛されて。

第8章 壊れる音




恭に拘束されていた手首が熱い。

ジンジンと焼けるように熱い手首を庇うように、ギュッと胸に寄せた。


そんな俺を見て、兄さんはゆっくりと、自分のベットに俺を降ろす。


兄さんの温もりが消えて、ただゾワリとした悪寒だけが俺の身体に残った。



寒い。なぜだろう。
気温は低くないはずなのに、寒い。


ふわりと俺を受け止めたベットから、嗅ぎなれた兄さんの香りが鼻を掠めた。


なぜ、だろう。

恐怖だった兄さんの香りで、俺は今安心してるのだ。


取り乱すわけでもなく、ただ、安心している。


「あ、、、」

「奏太。」


しゃがみ込む兄さんが、俺の頬をするりと撫でた。

瞬間、恭の顔が頭をかけ巡る。


俺は慌てて、ベットから起き上がった。


俺の部屋に、恭を一人残してしまうわけにはいかない。

今の恭を一人にするのは、嫌だった。



「戻んねーと、、、」

真っ直ぐ扉に向かおうとした時だった。








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