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愛して、愛されて。

第8章 壊れる音



グイッと腕を引かれ、小さく声を上げた瞬間、俺はもう一度兄さんの温もりに包まれていた。


「っ!?兄さん、離せ!」


「いやだよ。」


やだと言った兄さんは、強い力で俺を抱きしめる。


「恭のとこに、戻んねーと!」


「こんなに、震えてるのに?」


兄さんの言葉に、ハッと息をのんだ。


「ちがっ!これはっ、、!」

「ちがくないよ。」


認めたくなくて、俺を抱きしめる兄さんの腕を振り払おうと体をくねらせる。

だけど、兄さんの力に叶うわけもなくグッと腰に腕を回されてしまった。


本格的に兄さんの腕から逃れられなくなってしまい、目にはじわりと涙が滲み初めていた。


「、、、っ。」


悔しい。どうして、どうしていつも。

俺は兄さんの思い通りになってしまうのだろう。

震えてることだって、ほんとはーーー



「あいつのとこ、行きたい?」

「えっ、、、」


いきなりの質問に、戸惑いながらも俺は小さく頷いた。

恭が、どうしても心配だった。

あんなことをされても、恭は俺の親友だから。大事、だから。


「、、行かせてくれんの?」

兄さんの言葉に、そう聞き返した時だった。

腰に回された腕がさらに俺を引き寄せた。

瞬間、唇に感じる感触。

「、、、っ!」

ゆっくりと角度を変えられ、何度も何度も、唇を重ねられる。

抵抗する暇さえなかった。


「あっ!、、んんっ、、はぁ、、!」

酸素を求めて少しだけ開いた隙間から、兄さんの舌か入ってきた。

深いキス。

しつこく口内を弄ばれ、部屋には嫌らしい音だけが響いた。



「んんっ、、あっ、にいっ、さ!」


くちゅ、、、。


大きな音を立てた後、ゆっくりと唇が離される。

その瞬間、俺は一気に酸素を吸い込んだ。



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