愛して、愛されて。
第10章 快感と恐怖
「驚いたのかい?こんなに震えて……」
可哀想に。呟く伊勢谷に、そう思うならこれを解けと思ったが口が動かない。
もはや目の前にいるのは教育者ではなく、ただの誘拐犯だ。なにをされるかもわからないこの状況に為す術なんてない気がする。
「どういうことですか。先生……」
鋭く睨みながら、まるでうっとりと俺を見つめる伊勢谷に問いかける。
帰ってきた言葉に、理由を聞いたことすら後悔してしまった。
「村尾って、可愛いよね。俺の好みドストライクなんだよ?」
人当たりのいい笑顔のはずなのに、まるで嫌らしい笑顔のような気がする。
「え……」
乾いた声を発した俺を気に止めるわけでもなく、伊勢谷は言葉を続けた。
「ずっと見ていたよ、村尾のこと。この可愛らしい顔が……」
「……んっ、」
「どんな風に淫れるのだろう。この可愛い口から……どんな声を出すのだろうって。」
ーーーああ、ゾクゾクするなぁ。
首を指先で撫であげられる。その上耳元で呟かれ、体がビクリと震えてしまった。