愛して、愛されて。
第8章 壊れる音
それなのに、次の義兄さんの言葉に俺は少しだけ、見とれてしまった。
俺の問いかけに、少しだけ目を伏せた義兄さんは
「好きだよ。愛してる。」
と、はっきりと言った。
辛そうに、切なそうにゆっくりと揺れた瞳が、それが本心だと証明しているようで。
俺は何も言えなかった。
返す言葉が、見つからなかった。
「、、、、、、。」
無言の俺に、義兄さんはもう一度小さく微笑む。
そして、ゆっくりと背中を扉から離し、
「君ももう、寝たほうがいい。特に用はなかったんだ。確かめたいことは確かめられたから。」
そう言うと、部屋から出ていこうと俺に背を向けた。
バタンと音がして、また部屋に1人になる。
俺は動けずに、義兄さんが出て行った扉を見つめた。
意味深な言葉を残され、俺の胸にはモヤモヤとした何かが広がっていく。
もう一度しゃがみ込み、はぁと息をついて呟いた。
「寝れるわけ、ないだろ。」
死にたいほど膨れた後悔に、義兄さんからの意味深な言葉。
もう、きっと奏太は俺から離れていくだろう。
自分が撒いた種なのに、こんなにも認めたくなくて、
俺は静かに目を閉じた。
ーーーーごめん、奏太。
好きだよ。
心の中で、伝えることの出来ない想いを呟きながら、
俺は深い闇へと吸い寄せられていった。