愛して、愛されて。
第8章 壊れる音
奏太はただ純粋に、俺を友達だと思ってくれていたのに。
これは、裏切りだろうか。
奏太は俺を、きっと許してくれないだろう。
それでも、
「好きなんだ、奏太。」
ごめん。ごめん。ごめん。
お前を諦めることは、出来そうにない。
「どうすりゃいい。」
ぼそりと、呟いた時だった。
「奏太が好き?恭くん、だっけ。」
低く透き通った声が耳に届き、俺はしゃがんだまま顔だけを扉に向ける。
そこには、やっぱり綺麗な顔をした男の人が腕を組み扉に寄りかかったまま俺を見つめていた。
こんな綺麗な人が、奏太の義兄さんだったなんて正直驚いた。
が、やっぱり嫉妬心がジワジワと体を蝕み始め、俺は立ち上がり反抗的な目を向けてしまう。
まるで、我が儘な子供だな。
「好きですよ。」
「、、、そう。」
顔色を変えずに、義兄さんは小さく呟いた。
「見苦しい所を見せたね。謝るよ。」
少しだけ微笑んだ義兄さんに、見とれてしまう。
フルフルと首を振る。
そして、俺も口を開いた。
「義兄さんは奏太のこと好き、なんですか?」
1番、聞きたかったこと。
あんなキスを見せつけられたんだ。
答えによっては、殴ってやろうと考えていた。