愛して、愛されて。
第10章 快感と恐怖
「っ……?」
なんだろう。ブルりと震えるような寒さに、ハッとして目を開けた。
頭がクラクラして、ぼんやりする。目は開けているのにどこかボヤけている様な感じだ。
それでも何となく見える天井が、自分の家の天井ではないことくらいわかる。
どこだ、ここ。背中に感じるフワリとした感触に、ベットに寝ているのだと分かる。
それでも周りを見渡せば、見知らぬインテリアが置かれたオシャレな部屋ということしかわからなかった。
知らない部屋だ。
とりあえず起きないと。
そう思い、体に力を入れてハッとした。
「なんだよ……これ。」
体が起きない。正確には、起き上がることができなかった。
「っんだよこれ!?」
どうにか起き上がろうと体をくねらせただけで、カシャンと鉄が擦れる音がする。
体が恐怖で固まっていく。体温がつま先からゆっくりと冷えていく気がした。