愛して、愛されて。
第10章 快感と恐怖
両腕の手首は鎖で繋がれた手錠のようなモノで拘束されていて、ベットの手摺に固定されていた。
無理に起き上がろうとすれば、きっと肩の関節が外れてしまうだろう。それが怖くて、体を動かすことができない。
それでも少しずつ抵抗しようと腕を動かしても、ガシャガシャと不気味な音を鳴らすだけで、解くことはできそうにない。
なんだよ、これ。なんでこんなこと……!
自分の今の状況が理解できない。知らない部屋に、こんな風に拘束されてしまっているなんて理解したくもなかったけれど。
ーーー誘拐?
意識すればするほど、ガタガタと体が震え出す。
嘘だろ。
まさか自分が誘拐されるだなんて思っても見なかった。
「うっ……ふ……いや、だ!外れろよ!」
涙腺が一気にぶっ壊れ、震える体に合わせるように涙が出て止まらない。
言いようもない恐怖に、必死に腕を動かした。手錠が腕に擦れて痛い。だけど、それよりも怖くて。
必死に解こうとしても解けない手錠にあ息が激しく切れていく。
怖い。怖い。怖い。
ーーーーいったい、誰が?
頭に浮かんだ疑問に、ハッとして眉を寄せた。