愛して、愛されて。
第5章 守りたいもの
―――カラン。
店の扉が開いた。
グラスを拭く手を止め、入ってきた男を睨む。
「もう、閉店なんだけど。」
へらへらと笑う男に、鋭い言葉を向けた。
正直、今はコイツに会いたくなかった。
何をしてしまうか、わからない。
奏太が俺に内緒でコイツに会っていたことは、随分前から知っていたが、
まさか、奏太の携帯をコイツから返されるとは思ってなかった。
「ツレないねぇ。いいじゃん、俺と秦の仲だろう?」
客なんて一人もいない店内を見渡した雄飛が、不気味な笑みを浮かべる。
恐怖はないが、流石に気に障る。
コイツは昔から、こういう奴だ。
へらへらと笑いながら、たまに恐ろしく不気味な顔をする。
そして、俺が嫌うことをわざとしでかす。
…昔から、意味がわからない奴だ。