
愛して、愛されて。
第5章 守りたいもの
今朝、やけに早く家を出た奏太を思い出す。
『今日、委員会の仕事あるから』
あの言葉は、雄飛の店に行くための嘘だったわけか。
小さくため息をつき、片手で顔を覆った。
指の隙間から、水を喉に流し混んでいる雄飛を見つめる。
「…用件は?」
何をしに朝早く雄飛の店に行ったのか、それだけは知りたかった。
「んー。『兄さんに携帯渡しただろ。』だってさぁ。それを言いにきたらしかったねぇ」
「なるほどね。」
なぜか、少しだけ安心した。
そんな用事なら、奏太が何かされる必要はない。
小さく安堵した時だった。
雄飛のにやけた声色が、
「奏太君って、
感度いいんだねぇ、可愛かったよ。」
俺の逆鱗に触れた。
