
愛して、愛されて。
第6章 狂気の陰
そう思った瞬間、体の熱が引いた気がした。
なんだよ、なんの用だ。
震える手で、ポケットの中の携帯を取り出す。
[from 兄さん]
パカリと開いた携帯から目に入った予想通りのその文字に、肩をガクリと落とした。
めずらしいことこの上ない兄さんからのメールに、俺の胸には嫌な予感しか広がらなかった。
「…っ―――」
なんだ?
また、俺が兄さんの気に障ることをした…とかだろうか。
身に覚えはないけど、もしもそうだったとしたら?
…やばい。
俺、どうすればいいんだろう。
今日は、恭だっているのに。
そこで犯されたりしたら?
「…っ―――」
動揺する頭を、どうにか落ち着かようと、はっと息をついた。
