
愛して、愛されて。
第6章 狂気の陰
そだったら、どうしよう。
そんな不安を体中に巡らせながら、俺はそっと携帯を開いた。
「え…」
だけどその不安は、内容を見た瞬間一瞬で吹き飛んだ。
[今日、遅くなるよ。]
な、んだ…。
そんなことかと、俺は肩に入れていた力を抜いた。
心の底からホッとするって、こういうことか。
「…よかった。」
「なにがだよ?」
帰る用意が、できたのか
俺に駆け寄る恭。
慌てて携帯をポケットにしまい、なんでもないと首を振った。
「おせーぞ恭。帰ろ。」
「?、おお。」
その後は、他愛もない話をしながら校舎を出た。
本当に、よかった。
そんな言葉を、心の中で繰り返しながら。
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