愛して、愛されて。
第7章 眩暈がするほどに
「、、、、奏太を離して」
兄さんの言葉に、俺の腕を掴む恭の力が強くなった。
「嫌、です。すいません。」
「なぜ?」
まるで俺が空気の様な感じだ。
話しに、入っていけない。
ただ、戸惑うしかなかった。
恭が俺にキスをした意味。
なにひとつ、分からない。兄さんがこんなに怒っている意味も。
「、、、きょ、う?」
やっとのことで発した言葉に、恭が俺を見る。
そして、小さく呟いた。
「部屋に、戻るぞ。」
「、、、えっ」
瞬間、グイッと引っ張られ体制を崩されてしまった。
そのまま、階段を登っていく恭に引きづられるように俺も階段を登った。
戸惑うまま、小さく後ろを振り向く。
腕を組み、壁に寄りかかる兄さんが目に入り俺は目を見開いた。
兄さんは、まっすぐ俺を見つめていて。
「、、、っ」
その表情はあまりにも切なくて、俺の中で何かが揺れた気がしたーーー。