愛して、愛されて。
第7章 眩暈がするほどに
俺の唇に、暖かい何かが重なった。
それが恭の唇だと気づくのにはそう時間はかからなかった。
恭にキスをされている。
兄さんの官能的なキスとは違う、柔らかなキスだった。
「、、、っ!」
すぐに唇を離され、小さく息をつく。
頭が混乱していて、なにが何だか分からなかった。
ただ、恭にキスされた。
その事実だけが、頭をぐるぐる巡っていく。
ちらりと兄さんを見ると、鋭く恭を睨んでいて。
その瞳の鋭さに、俺はブルリと震えた。
「本当に、どういうつもり?」
「見ての通りです。」
兄さんの問いかけに毅然とした態度で答える恭に、俺は何も言えない。
状況がまだ、はっきり理解できていなかった。
ただ、雰囲気が悪い。
それだけは、分かった。