テキストサイズ

愛して、愛されて。

第8章 壊れる音




言葉が出ない。


ただ、ゆっくりと俺に近づく恭を黙って見ているしかできなかった。

恭がなにを考えているのかも、表情からはひとつも読み取ることが出来なくて。


いつもの。

いつもの、優しい親友ではない気がした。


「、、、っ。」


「俺は、どうすればいい?」

目の前まで近づいた恭が、俺の目線に合わせるようにしゃがみ込み、

一言、そう呟く。

恭の言葉の意味が、わからない。


「なにが、だよ。」

言葉に詰まってしまう。

ごめん、恭。バカで、本当にごめん。

俺、わかんないんだ。


恭の言葉の意味も、その悲しそうな表情の意味も。

わかんないんだ。


恭の目が、真っ直ぐ俺を見つめる。

そして、するりと頬を恭の指が撫でた。



「今から、俺のすること」




ーーーーー許せ。





ストーリーメニュー

TOPTOPへ