愛して、愛されて。
第8章 壊れる音
「えっ、、、」
恭の言葉が理解出来ず、戸惑いの声を上げた瞬間。
見えていた景色が、ぐるりとひっくり返る。
ギシリと、ベットが大きく軋む音が部屋に響いて、
俺は、ただ目の前に広がる天井と、
辛そうに歪んだ恭の顔を見つめていた。
「きょ、う?」
情けない声が、口から出てしまう。
恭に押し倒されていることがまだ理解出来ずに、
「な、に」
ただ呟くしかなかった。
「ごめんな、奏太。」
そんな俺に、恭はもう一度切なげに呟き、
俺の唇に自分の唇を重ねたのだ。
「、、っ!?」
さっきの柔らかなキスとは明らかに違う、激しいキス。
兄さんと同じ、官能的なキスで。
「ふっ、、、あっ、、っんンっ、」
厭らしい声が出てしまう。
そんな俺を尻目に、恭はもっと激しいキスを続ける。
驚きよりも、怖いと感じてしまう。
俺が知っている恭が、消えてしまう気がした。