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チェリーブロッサム

第1章 いつもの場所

「ストレスはいつも旦那から与えられてるわ。」

寛子の声は落ち着いている。

短大を卒業してから

専業主婦として家にはいった。

旦那の転勤を期に

パートに出たのが晋也の会社だった。

主任を任されるまで登り詰めたのも

寛子の意地だっただろう。

従業員のなかで人一倍苦労していたと

晋也は聞かされていた。

「今じゃ、晋也と仕事が頭を支配してるもの。」

季節物の棚卸し準備中だという。

得意先を一同に集め

指示をだし

ディスプレーを考えなくてはいけない。

「忙しいんだな。」

寛子のため息は首のすぐうしろから聞こえた。



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