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背中デ愛ヲ、囁キナサイ

第2章 月明カリノ下デ

 こんなに強い力で体に触れられたことなんて、今までなかった。

 いつだって、わたしを包むように優しく温かく抱いてくれたのに。

 こんなの、嫌だ……

 覆いかぶさってきた彼から逃れようと、からだを動かそうとしたけど、全く動けない。

「こわい」

 そう呟いても彼は無言で、わたしの手首を鬱血しそうなほどにぎゅっと掴んだまま、首筋を噛んできた。

「痛いよ」

 あまりに強く抑えられた手首の痛みに口から出てしまった。

 いつもなら、言わなくたって痛がってることを察してくれる人なのに……


 何も言わずに、今度はその手の強さのまま、わたしの胸を掴んだ。

 ねえ、何か怒ってるの?

「やめて」

 無言で力任せみたいにことに及ぶ彼がこの上なく怖くなり、言ってしまった。

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