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背中デ愛ヲ、囁キナサイ

第2章 月明カリノ下デ


 そして半年前に、出会ったのがこの人。

 飾り気のない笑顔が年上なのに可愛らしくて、素敵な人だと思った。

 ごく自然な成り行きで付き合い初めて5ヶ月余り経った、ひと月前。

 今、目の前にいる彼はわたしにこう言ってくれた。

 「ずっと一緒にいたいね」って。


 それを聞いて、もちろん嬉しい気持ちもあったけれど、それよりも不安の方が断然強くわたしを支配した。

 同じセリフを、あの人の口からも聞いたことがあったから……


 彼に何か不審な態度をみたわけでもないのに、もしかしたら、この人もあの人と同じようにわたしを捨てるかかも知れない、なんていう想いに取り憑かれてしまっていた。

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