背中デ愛ヲ、囁キナサイ
第2章 月明カリノ下デ
また、あんな想いをするのなら、いっそのこと嫌われて、離れてしまえばいい……
そう思って背を向けた。
それしか、自分を守る術がわからなかったから。
でも、この人は離れてはくれなかった。
それどころか、こんなわたしに何度となく背中から愛を囁いてくれた……
キスをされる度に、
優しく触れてもらう度に、
彼のものを受け入れる度に、
彼を信じきれない自分が嫌になり、涙が出そうなのを堪えるように胸元を引っ掻いた。
この傷は醜いわたし、そのものだと思う。
そんな部分を、見られたくなかった。
そんな顔を、彼には見られたくなかったんだ……