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背中デ愛ヲ、囁キナサイ

第2章 月明カリノ下デ


 たいして長くもない時間だったかもしれない。

 けれど、わたしは今まで流すべきだった涙を、全て流しきった気分になった。

 手の甲で涙をザッと拭い、顔を上げると、ぐちゃぐちゃになっていたはずのわたしの顔を見た彼は、あの幼げな笑顔を見せてこう言ってくれた。


「まゆみ? キスしよう?」


 いつものトーンで。

 そして、いつも通りに深くて優しいキスをしてくれた……









〔第2章 月明カリノ下デ 了〕

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