背中デ愛ヲ、囁キナサイ
第1章 暗闇ノ中デ
僕は、枕元の電気を消すと、彼女が抱きしめていた毛布をそっと取りのけて、彼女を自分の方に向け、腕の中に収めるように横になった。
小さい体がすっぽり収まる。
僕の胸の中に潜り込むかのように、ぐっと体を密着させてくるその姿は、暗闇で陰しか見えないけれど、僕の背中に腕を回す仕種と胸に触れる彼女の小さな吐息は、確かに僕に、この人が愛しい人なんだと思わせるんだ。
「まゆみ? キス、しよう?」
彼女の柔らかい髪の毛の代わりに、少しひんやりした鼻先が僕の唇に触れた。
そして、彼女の唇。
小さくて薄いけど、柔らかい。