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背中デ愛ヲ、囁キナサイ

第1章 暗闇ノ中デ


 僕は彼女の唇に出会うまで、正直、キスは好きじゃなかったんだけど、なんでだろう、彼女の唇に触れると、何もかもを自分のものにしたい衝動のようなものにスイッチが入って、何度も何度も、吸い付いてしまうんだ。


 ねえ、
 君は僕のこと、見てくれないの?


「まゆみ?」

 僕の声に反応して、こちらを見上げた彼女の目は、暗闇の中でただ暗闇だけを映し出し、その潤みは真っ暗な海を思わせた。

「まゆみの顔も体も、僕、見たいんだ。電気、つけちゃだめ?」

 彼女は首を横に強く振りながら、またすぐに、僕の胸の中に潜り込んでしまった。

 一言も話さずに……

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